ONE QUEST

『教育が高くつくというなら、無知はもっと高くつく』
〜 ベンジャミン・フランクリン 〜

  1. HOME
  2. これから結婚、出産する人に知ってほしい社会保障制度②~出産育児一時金~

これから結婚、出産する人に知ってほしい社会保障制度②~出産育児一時金~

20代後半に差し掛かり、私の周りでも結婚をしたり子供が生まれるという友人が増えてきました。

 

最近は妊娠、出産をしても、産休、育休を取得して会社に復帰する女性が増えています。
休職し、子育てに専念できることは素晴らしいことですが、その一方でご自身の収入のことが気になるという方は多いと思います。

 

そこで、今回は産休、育休中にもらえる社会保障制度にはどんなものがあるのか、3回にわたって紹介します。

 

2回目の本日は、出産育児一時金についてお伝えしていきます。

 

◼出産育児一時金を受け取れる条件

 

妊娠、出産は「病気やケガ」ではないため、健康保険を使えません。
しかしそれでは、出産をするときの分娩費用や入院費用などを合わせると、高額な費用を支払うことになってしまいます。
そんな出産に関わる経済的な負担を軽減するために、社会保険から「出産育児一時金」が支払われます。

 

出産育児一時金を受け取る条件は下記の2つです。

・健康保険、国民健康保険などに加入していること
・妊娠4ヶ月(85日)以上で出産する人

 

基本的に日本の保険制度は「国民皆保険」とされ、健康保険に加入するように定められています。
そのため、出産する際は、成年、未成年に関係なく、妊娠している人が加入している健康保険から出産育児一時金を受け取れるようになっています。

 

妊娠をきっかけに退職した場合は、ご主人の扶養に入る、自分で国民健康保険に加入する、退職した会社の健康保険に加入するといった方法がありますが、いずれにしても出産育児一時金をもらうことができます。

 

退職した会社の健康保険から給付を受ける場合は、以下の要件を満たす必要があります。

 

・妊娠4ヶ月(85日)以上の出産
・資格喪失日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間(任意継続被保険者期間は除く)がある
・資格喪失後(退職日の翌日)から6ヶ月以内の出産

なお、出産手当金同様、出産育児一時金は正常な分娩ができなかったケースでも、妊娠期間が4ヶ月(85日)以上継続していれば支払われます。
つまり妊娠4ヶ月を過ぎて、流産、早産、死産や、人工中絶となったケースでも出産育児一時金は受け取ることができます。

また、帝王切開をした場合も、出産育児一時金を受け取れるため、自然分娩、帝王切開に関係なく利用できる制度です。

 

◼もらえる金額はどれくらい?

 

出産育児一時金は、基本的に生まれてくる子どもひとりにつき42万円が支給されます。双子の場合は、84万円が支給されます。
出産する医療機関が「産科医療保障制度」に加入していない場合や、妊娠22週目未満で出産した場合は40.4万円になります。

また、加入している健康保険によっては、出産育児一時金に加えて「付加給付」がある場合があります。
付加給付金は、健康保険組合の独自の制度ですので、加入している保険組合や自治体のホームページで確認するか、あらかじめ問い合わせてみることをおすすめします。

 

◼妊娠・出産に伴う費用は医療費控除の対象

 

出産育児一時金をもらえるとはいえ、妊娠、出産には費用がかさみます。
そこで、確定申告を使って医療費控除をすることで、支払いすぎた税金の還付金を受け取れます。

 

妊娠と診断されてからの定期健診や、検査費用、通院費用、分娩入院費用は医療費控除の対象です。
陣痛が始まってタクシーで病院に行った際のタクシー代も、医療費控除の対象になります。

 

ただし、入院中の洗面用具や食事代は医療費控除の対象にはなりません。

 

例えば、妊娠、出産の費用に60万円かかった場合は医療費控除の対象額は以下のように計算します。

 

60万円(出産費用) - 42万円(出産育児一時金) = 18万円
18万円 - 10万円 = 8万円(医療費控除の対象)

 

医療費控除を活用するためにも、妊娠、出産にかかった領収書は大切にとっておき、かかった費用をメモなどで残しておくことが大切なポイントです。

 

関連記事