
REITの魅力と注意点
最近は世界的に株価が上昇している傾向にあり、市場には「景気回復」といった明るい言葉も目にする機会が出てきました。
その一方、米中貿易摩擦などのあおりを受けて株式市場は先行き不透明感が強いとも言われています。
こうした中で分散投資のひとつの選択肢に、不動産投資信託(REIT)に投資をすることが挙げられます。
REITに投資をすると少額で不動産投資をすることができるため、株とは違う資産を手にすることができます。
本日は、REITの特徴や投資の際のポイントをまとめてみました。
■なんといっても魅力的なのは、高い利回り
REIT(リート)とは、Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)の略称で、投資家から集めたお金を使って不動産を購入し、そこから得られる家賃収入や不動産の売却益を投資家に分配する金融商品のことを言います。
わかりやすくすると、投資家がごく小さい割合だけ物件の大家さんになるイメージです。
実際のマンションを購入するためには数千万単位のお金が必要になりますが、REITという仕組みを使えば、株価にあたる「投資口価格」の水準の予算で不動産を購入できます。
投資口価格は、約1万数千円~65万円程度で上場株と同じく市場で売買することができます。
REITの魅力のひとつに、配当利回りの高さがあります。
東京証券取引所に上場している銘柄は約60銘柄ですが、それらの分配金の利回りは3~7%台で、平均利回りは4.19%とされています。
これは、東証1部の上場企業の平均配当利回りの1.7%を大きく上回っています。
なぜこんなにも高利回りなのでしょうか。
REITは、配当可能な利益のうち、90%超を投資家に分配するなどの要件を満たすと法人税が実質的にかからない仕組みになっています。
こういった仕組みから、REITは高い利回りが期待できる投資資産として人気があります。
■銘柄選びのポイント
一口にREITと言っても、オフィスビルや商業施設、住宅や物流施設など、投資対象とするものには様々な種類があります。
例えば、景気が上向いてオフィスビルの賃料が上がれば、オフィスビルを主な投資対象とするREITの分配金の増加が期待できます。反対に、不況でも賃貸住宅には一定の入居需要があるため、住宅特化型のREITは景気の影響を受けにくいとされています。
また、REIT投資を検討する際は「NAV倍率」も知っておきたいポイントのひとつです。
NAV倍率とは、REITの時価総額が、保有資産から負債を差し引いた純資産価値に対して何倍かを示す指標のことです。
簡単にいうと、そのREITの銘柄が割安なのか割高なのかを見る際に必要な指標です。
1倍を基準として、それよりも高い数値であれば割高、低い数値であれば割安を意味しています。
現在は3分の1程度の銘柄が1倍を割り込んでいるため、それらの銘柄は比較的割安の状態だと判断することができます。
■金利上昇が懸念点
REITをはじめ、不動産投資のリスクのひとつに、金利上昇があります。
現在は低金利状態にありますが、足元では少しずつ金利は上昇しつつあります。
将来、金利が上昇してREITの利回りの魅力が薄れると投資口価格の下落圧力になります。
これは、イールドギャップが縮小し、不動産投資の魅力が薄れるために起こる現象です。
わかりやすくいうと、金利が上昇すると銀行からの借入金利も高くなり、銀行から資金を借り入れて行う不動産投資は儲かりにくくなるのです。
また、現在は日銀が金融緩和策の一環として年900億円ペースでREITを買い入れていますが、もし日銀が買い入れ縮小にカジを切った場合、投資口価格に影響を及ぼす可能性があります。
日銀の金融政策を注視する必要はあるREITですが、株式とは異なる値動きをする資産として自分のポートフォリオの中に組み込んでみてもいいかもしれませんね。