膨らむ医療費、未来の日本はどうなるか
私たちが病院に行った際に支払う医療費は3割負担。
これは、「国民皆保険制度」という仕組みによって成り立っています。
この制度によって私たちは少ない自己負担で病院にかかることができています。
しかし、高齢化や医療技術の高度化等を背景に日本の医療費は増え続け、財政を圧迫していることをご存じでしょうか。
本日は、私たちの生活に大きく関わる医療費の財源問題から日本の未来を見ていきたいと思います。
◼️国民皆保険制度って?
冒頭で述べた通り、日本では「国民皆保険制度」を採用しています。
これは、すべての国民が少ない自己負担で医療を受けられる代わりに、収入や働き方などに合わせて一定の保険料を負担するものです。
この制度によって、私たちは3割の医療費負担で病院を受診することができています。
例えば自己負担額が1,500円だった場合、医療費合計は5,000円であり、差額の3,500円は公費と保険料で賄っています。
◼️医療費の財源はどうなっているのか
医療費の財源は大きく以下の3つに分かれています。
・患者が医療機関の窓口で支払う自己負担分
・税金を元に国、地方自治体が支出する公費
・健康保険組合などの各医療保険制度が集めた保険料収入
国全体の医療費は2015年度で43兆3,644億円にも及んでいます。
このうち、患者の自己負担分は5兆2,183億円で全体の約12%。
税金で賄う公費は16兆4,715億円で全体の約39%。
健康保険組合などの保険料収入は20兆6,746億円で全体の約49%の負担でした。
20兆円超を占める保険料は大企業や中小企業の事業主による負担と被保険者負担に分かれ、それぞれ8兆7,299億円(全体の約21%)と11兆9,447億円(全体の約28%)でした。
保険料は原則として、企業と社員が折半して納めています。
高齢者を中心に医療費が増えると、健康保険組合の運営も厳しくなることから企業や従業員の負担はさらに増える可能性があります。
◼️医療費の未来はどうなるのか
17年9月に健康保険組合連合会が公表した将来推計で、国民医療費は25年度に57兆円を超えると予想されています。
日本は超高齢化社会で、今後高齢者の数は増加の一途をたどります。それに伴い、医療費も右肩上がりで増えていくとされているのです。
このまま医療費が増え続ければ現在の税収では賄いきれず、税負担が増える可能性は非常に高くなります。すると、私たちの生活にも大きな影響を及ぼすことになります。
医療費の側面で見てもわかるように、私たちの負担が大きく増える未来は、もうすぐそこまで迫っています。
その事に気づき、今から適切な対策を取れるかどうかでその後の未来を大きく左右することになるでしょう。