貯蓄から投資へ 日本の現状は
最近ではつみたてNISAやiDeCoの普及、さらにヤフーやLINEなどの生活に身近な企業による投資信託の取り扱い開始など、誰しもが投資を身近に感じるようになってきました。
そういった背景もあり、家計の金融資産の中でリスク性資産の割合が高まってきているようです。
本日は、家計の金融資産の保有状況と海外との違いをみていきます。
◼家計のリスク性資産は18%に
日銀の資金循環統計によると、家計の2017年12月末の株式や投資信託、外貨預金などのリスク性資産の残高は353兆円と、家計全体(1880兆円)に占める割合は18%になりました。
これは2007年6月以来の水準で、昨年の株高で株式や投資信託の含み益が増えたことが影響しています。
投資の成功体験を持つ個人も増えていて、「投資が危ない」という意識が和らいでいけば今後もさらにリスク性資産は増える可能性があります。
◼それでも半分以上は現金預金で保有
ただ、日本人はとにかく貯金が大好き。価格が変動する投資なんてあり得ないという方も多いのが現実です。
家計全体における現金預金が占める割合は51%(961兆円)と、半分以上は現金預金で保有していることになります。
また、保険が占める割合は27%(520兆円)で、現金預金と合わせると約8割の資産は投資に回っていないことになります。
◼圧倒的な世界との差
前述の通り、日本ではほとんどの資産が運用されず安定的な資産に滞留していることがわかります。特に日本の現金預金の比率は世界と比べても圧倒的です。
資産運用大国といわれるアメリカでは現金預金が13%に対してリスク性資産が52%。ヨーロッパでも現金預金が33%に対してリスク性資産が30%と、いずれも日本に比べて現金預金が少なくリスク性資産が多く占めていることがわかります。
それは金融資産の伸び率にも影響しており、日本とアメリカの金融資産の伸び率は2012年~2017年の5年間で2倍もの差になっています。
「貯蓄から投資へ」というスローガンの通り、金融資産を増やしていくには働いて得たお金を貯金するだけでなく、少しずつでも投資に回していくことが欠かせません。