
IPOってなぜするの?
本日はソフトバンクが新規株式公開(IPO)をしましたね。
大型のIPO案件ということもあり、読者の方の中にも応募したという方はいらっしゃるのではないでしょうか?
今回のソフトバンク株に関しては残念ながら初値も終値も公開価格割れとなってしまいました。
ただ、IPOと聞くと一般的には「株価が何倍にもなって儲かりそう」というイメージを持つ方は多いと思いますが、そもそも企業側はなぜIPOをするのでしょうか。
本日は、企業側から見たIPOについて基本的なことを書いてみました。
■IPOって?
IPOとは、「Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、未上場企業が新規に株式を証券取引所に上場し、企業が資金を集めるために自社の株を新たに一般の投資家へ売り出すことを言います。
企業にとっては株式市場へ上場することで、銀行からの借り入れに頼らず広く資金調達することが可能となります。
ちなみに、銀行等の金融機関から資金調達をする方法を「間接金融」、銀行等の金融機関を介さずに社債・株式・公債を発行して、必要な資金を証券市場を通じて直接貸し手から調達することを「直接金融」といいます。
IPOを行うことで企業からすれば投資家から新たな資金の調達を行うことができるため、この資金をもとに企業は設備投資や従業員の増員を行い、さらに事業規模を大きくすることができます。
さらに、上場することで知名度が上がり、社会的な信用を高めることができるといったメリットもあります。
■投資家としてはメリットが大きいIPO投資
前述の通り、IPO投資と聞くと「儲かるもの」と思う方は多いのではないでしょうか?
そのイメージ通り、IPO投資はローリスクハイリターン投資として広く投資家の間で人気があります。
その理由として、直近5年間のIPOの結果を見てみると以下のようになります。
2017年:年間IPO件数89件 勝率91%
2016年:年間IPO件数83件 勝率81%
2015年:年間IPO件数92件 勝率89%
2014年:年間IPO件数83件 勝率78%
2013年:年間IPO件数60件 勝率93%
上記を見てみると、平均して8割程度は勝てる投資ということがわかります。今回のソフトバンク株のように損をしてしまう確率は非常に低いものになります。
なぜこんなにも勝率が高いかと言うと、上場前は企業は割安な価格で株価を決めていることが多いからです。
IPOをする際、企業は証券会社と協議して上場前の一時的な株価を決めます。この株価のことを公募価格といいます。こちらの公募価格は基本的に売れ残りが出ないよう安めに設定されることが多いため、上場後は値が上がりやすくなります。
この値上がりを利用して、上場前の株を公募価格で割安に手に入れて、市場に売り出された日に上場初日の最初につく株価である初値で売って利益を出します。
IPO投資は10万円程度の資金から投資ができるうえにチャート等を読む必要もないので、誰でもできるローリスクハイリターン投資として人気があります。
■企業としてはデメリットもある
投資家にとってはメリットが大きいIPOですが、企業にとってはデメリットもあります。
企業にとっては資金調達がしやすくなるなどのメリットがある反面、上場することで以下のようなデメリットがあります。
・証券取引所、監査法人による監督を受ける手間とコストがかかる
・株主総会の案内の発送など事務作業の増加
・市場で株式を取得され、買収される恐れ
・株主の意向を反映させる経営が必要
・上場すると、その後ずっと証券取引所の方針に従う必要がある
以上の経営上や費用に関するデメリットを考慮して、上場を敬遠している大手企業もあります。
代表的な企業では以下のような大手企業が挙げられます。
・サントリー
・JTB
・竹中工務店
・朝日新聞社
・佐川急便
これらの企業は日本人であれば誰もが知っている大手企業です。これらの企業を見ると自社で資金調達ができており知名度も高ければ、上場する必要がないということがわかります。
企業にとっては決してデメリットも小さくないIPO。
IPOをする企業としない企業ではどのような経営戦略の違いがあるのかを見てみるのも面白いかもしれません。