
【タックスヘイブン応用編】ダブル・アイリッシュ・ダッチ・サンドイッチとは?
みなさん、こんにちは。
株式会社ワンクエストの萩原です。
大企業だけでなく、個人でも利用している方も多いので、仕組みを知っておくいいと思いますよ!
今日は少し難しいと思いますので、なるべくわかりやすく説明しますね!
タックスヘイブンとは、Tax(税)のHaven(避難所)という意味で、日本語では租税回避地とも呼ばれています。
どのような国がタックスヘイブンに該当するのかを下の図で確認していきましょう。
この地図を見ると、タックスヘイブンは島国が多いことが分かるかと思います。タックスヘイブンはオフショア地域(岸から離れた地域)とも呼ばれています。オフショア地域の多くは、自国で資源を調達できないため経済を活性化させることが難しいのです。そこで、これらの地域は税率を低くし企業や個人を誘致することで経済を活性化させたというわけです。
アジアでは香港やシンガポールがタックスヘイブンとして知られています。
日本・香港・シンガポールの税率を比較するために下の図を確認してみましょう。タックスヘイブンである香港・シンガポールは法人税、所得税が日本と比べて低いことが分かります。
日本 | 香港 | シンガポール | |
法人税 | 23.2% | 16.5% | 17.0% |
所得税最高税率 | 45.0% | 17.0% | 22.0% |
付加価値税(≒消費税) | 10.0% | 0.0% | 7.0% |
香港・シンガポールは元々イギリス領でした。金融立国であるイギリスがこれらの国を植民地にしていたころに、タックスヘイブンとして税収を得ていた名残が今でも残っているといわれています。
世界トップ企業のGoogleもタックスヘイブンを活用して、年間1200憶円以上の節税を行っています。その節税の手法が「ダブル・アイリッシュ・ダッチ・サンドイッチ」と呼ばれるものです。複雑なので分かりやすく図を用いながら見ていきましょう
まず、地図で使用するマークの御説明から。旗のマークが海外の本拠点。剣のマークがライセンス権。盾が経営管理権を表すとします。
ライセンス権である剣を所有していると「源泉課税」がかかり、経営管理権である盾を所有していると「法人税」がかかります。
どのようにして、ライセンス権と経営管理権にかかる税金を節税するのかを見ていきましょう。
Googleを例に説明します。Googleはアメリカに本社があります。開発したシステムのライセンス権も本社がもっているため、このままであればライセンス権に対してアメリカの税金がかかります。
そこで、①海外拠点のアイルランドA社にライセンス権を譲渡します。このままであれば、アイルランドA社は経営管理権も持っているため法人税とライセンス権への税金がかかります。
次にどうしたかというと、②A社はアイルランドにあるものの、その経営管理はタックスヘイブンであるバミューダ諸島で行わせます。アイルランドの税制では、国内で経営管理を行っていない企業には法人税の納税義務が免除されるので、A社の法人税の納付先はアイルランドではなく、バミューダ諸島ということになります。しかし、バミューダ諸島は法人税がないため納税しなくてよいことになるわけです。
元々アメリカ本社にあるお金をバミューダ諸島に移すことで、課税を逃れているという訳ですね。
次に、A社がライセンス権を使用すると、アイルランドで使用料に対して課税されます。これを回避するために③オランダのB社にライセンス権を貸与します。オランダは権利使用料収入に課税しない租税条約をアイルランドと結んでいます。
最後に、④アイルランドC社にライセンス権を貸与し、実質的なビジネスはC社で行うようにします。C社はオランダB社を経由してA社に権利使用料を支払えば、アイルランドでの権利使用料への課税を回避できるというスキームが完成します。
ここまでタックスヘイブンについて説明してきましたが、重要なのがこれらは合法的だということです。タックスヘイブンだけではなく、その国ならではのルールを組み合わせてオリジナルのサンドイッチを作っている。そうすることで節税をしているわけです。皆さんはどうお考えになるでしょうか?
これは極端な例でしたが、私たち個人でもいえることではないでしょうか?
例えば、ふるさと納税。これを知っていて活用する人とそうでない人では大きく差が付きます。もちろん、脱税は違法ですので、ルールをしっかり理解し節税を行うことで、豊かな未来に繋がる一歩になります。
日々の積み重ねが、将来を創っていきます。得た知識を活用し、一緒に前に踏み出していきましょう!